プロペシアは肝機能障害を引き起こす

プロペシア添付文書の記載内容

プロペシアの添付文書には、肝機能障害についての記載があります。

頻度は不明ですが、副作用として肝機能障害があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置をすること

異常が認められた場合とは、どういう場合でしょう。肝臓は沈黙の臓器と言われています。大量のアルコールや薬で傷つけられても、残りの正常な細胞がそのダメージをカバーできる優秀な臓器です。

ですから肝機能がかなり悪くならないと異常が現れず、日常生活を普通に送ることができてしまいます。

肝臓数値で異常を見つけよう

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異常が認められた場合とは、具体的には「血液検査の値が異常だった場合」ということです。AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP(アルカリフォスファターゼ)の値がその代表的なものです。AST(GOT)、ALT(GPT)は、体内でのアミノ酸代謝やエネルギー代謝に必須な酵素です。

ASTは肝細胞のほかにも腎臓、赤血球、骨格筋等いろいろなところに存在するのに対して、ALTはほぼ肝細胞のみに存在するという違いがあります。ですから、ALT値が高ければ肝機能障害が起こっているとみて間違いありません。

ALPはリン酸化合物を分解する酵素で、AST、ALT同様、生きていくうえで必須な酵素です。通常は肝臓でできた胆汁の成分として、肝臓→胆管→十二指腸へ流れていきます。肝臓、胆管に病気があってうまく流れないと、血液中にALPが漏れて高値になります。

ALPが高いだけですと、他の病気の可能性もありますが、肝機能障害であれば、AST、ALTとともにALPも高値になります。

肝機能障害は見つかりにくい

これらが高い値でも、自覚症状はなかったりします。あっても「そういえばだるいな」「最近食欲落ちているかも」という程度です。これが夏であれば、季節的なものでだるいとか食欲がないのだと勘違いしてもおかしくありません。

さらに悪化すると、黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなる)や腹水(腹腔内に体液がたまること)が見られるようになります。そこまでいってしまうと、大変です。命にかかわることもあります。

プロペシア服用者は血液検査を

医師に処方された場合は、先生から必ず血液検査をしましょうと言われるはずです。しかし、個人で購入している人はそうはいきません。普段、健康診断や血液検査を定期的に受けてない人は、少なくとも半年に1回は自分から血液検査を受けるようにしましょう。

また、ネット上には、肝機能障害チェックリストなるものもあります。プロペシアに限ったことではないですが、薬を長く服用するときには、こういったものも利用するといいかもしれません。

高齢者、合併症がある人は特に注意

肝臓の重要なはたらき

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肝臓には大きく「代謝」「解毒」「合成」と3つの働きがあります。口から入ってきた食べ物(糖、たんぱく質、脂質)を体で使える形にして、いざという時に蓄えておきます。血液やビタミンを蓄えておくこともできます。

血糖値が低下すると、肝臓はグリコーゲンをブドウ糖に換えて、血糖値を上昇させます。

また、アルコールや薬などの異物を解毒する働きをします。さらにさまざまな酵素を用いてコレステロール、尿素、胆汁、アルブミン等を合成します。数百種類もの化学反応が、同時にかつ瞬時に行われている働き者の臓器なのです。

ですから、アルコールを止める「休肝日」をもつことは、正しいのです。また、薬を服用しているときにアルコールも飲むのは、肝臓を自ら痛めつけていることになりますので控えましょう。

高齢者や肝臓弱い人はマジ注意

薬の多くは肝臓によって代謝され、尿や便となって排泄されます。プロペシアも肝臓で代謝される薬ですので、高齢者・もともと肝臓が悪い人・排泄にかかわる腎臓が悪い人・ほかに持病がある人、は解毒が順調にいかず血液中の薬の濃度が高くなってしまう可能性があります。

たとえば、85歳の高齢者の腎臓が薬を排泄する効率は、35歳の人の半分程度まで落ちています。そうすると1日1mgのプロペシアを服用しているつもりでも、それ以上の量が血液の中に蓄積されることになり、健康な人より副作用がでやすくなります。

ですから本来、医薬品は医師の診察を受け、その人に合った投与量が決められるのです。個人で購入し服用する場合は、すべて個人の責任になります。国は助けてくれませんので十分に気をつけなければいけません。

(医師の診察を受け、効能効果の範囲で適正な服用をしたにもかかわらず、重篤な副作用が出た場合は、国による医薬品副作用被害救済制度が日本にはあります。)