プロペシアで起こるポストフィナステリド症候群とは?
2012年8月、アメリカで「ポストフィナステリド症候群財団(PFS)」が設立されました。フィナステリド副作用の後遺症に関する研究を行う財団です。
PFSとは、プロペシアの服用を止めて、いったん副作用がおさまった後、しばらくしてからまた副作用の症状があわられてくる後遺症のことです。
具体的には、以下のような症状経過をたどります。
- プロペシアの服用を止めて10~20日以内に副作用がおさまる。
- 服用を止めて数週間~数ヵ月後にテストステロン(男らしさをつくるホルモン)、LH、FSH(いずれも性腺刺激ホルモン)が急激に低下する。
- それに伴って、EDや性器の萎縮等の性的症状、うつや思考の低下等の精神的症状、女性化乳房や倦怠感等の体に関する症状が出現する。
海外の研究発表がガチっぽい
海外では2011年頃からフィナステリドの副作用とPFSについてのさまざまな研究発表がされています。たとえば2013年10月には、イタリアで以下のような内容の発表がされています。
フィナステリド服用中止後、3ヶ月以上にわたって性機能の副作用が持続する3名と、健常者5名の脳脊髄液中のステロイドホルモン濃度を検討した結果、健常者と比べPFSの方では、フィナステリド投与中止後であるにもかかわらず、血中および脳脊髄液中のジヒドロテストステロン減少、テストステロン増加、エストラジオール増加を認めた。
同じく2013年アメリカでは以下の発表が。
フィナステリド服用中止後、3ヶ月以上にわたって性機能の副作用が持続する83名において、フィナステリド使用前後での性機能とアルコール消費量を検討した結果、65%の人がアルコール消費量が有意に低下した。
つまり、アルコールが飲めなくなっているのです。プロペシア服用中はアルコールは控えるべきなのですが、この研究結果は、5αリダクターゼという酵素が服用中だけでなく、「中止後もステロイドホルモン濃度や代謝に影響を与え続ける」ということを示唆しています。
日本でもYahoo!ニュースが紹介している
日本ではまだほとんど知られていないPFS(ポストフィナステリド症候群)。プロペシア飲んで性欲減退とかあるかも?程度の認識しかないと、大変なことになるかもしれません。
2015年になって、ようやくヤフーでもプロペシアの後遺症について記事が載るようになってきました。
プロペシアの後遺症はやっぱり恐ろしい
デュタステリドでも同様の結果に…
2012年にデュタステリドという薬のPFSについての研究発表がされています。
プロペシアは5αリダクターゼⅡ型という酵素を阻害しDHTを抑制しますが、デュタステリドは5αリダクターゼⅡ型と、5αリダクターゼⅠ型の両方を阻害するため、プロペシアよりもさらにDHTを抑制する効果がある薬です。
このデュタステリドを「マウスに8週間投与した結果、勃起機能障害が発現し、投与中止後も完全に回復しなかった」とのこと。
中止して3年なのに9割の人が低下
2011年には健康な成人男性71人にフィナステリドの服用してもらい、服用前後の性的障害についてインタビューをした研究結果も発表されています。平均服用期間は28ヶ月、インタビューは服用中止後平均40ヶ月経過しています。
中止してから3年以上経っているにもかかわらず、94%の人が性欲低下、92%の人が勃起不全と性的興奮の低下を感じたという衝撃的な結果でした。9割以上の人が、これほど長い間この副作用に悩まされ続けているのです。
日本で、このようなリスクを患者に説明し、プロペシアを処方している医師がどれくらいいるのでしょうか。知っていたら、プロペシアの処方はしないかもしれませんが。
日本の臨床試験でもリビドー減退は報告済
プロペシアの添付文書に注意書き
少し前にも書きましたが、リビドー減退については、プロペシアの添付文書に「投与中止後も持続したとの報告がある」との注意書きがあります。
小さく書かれている一文ですが、個人輸入で購入し、自分の適用量以上の服用をしたために、実際にEDになり、無気力になり、それに何年も悩まされ、命を絶つことまで考えている人もいるのが現実です。
日本人は1日0.2mgで十分です
プロペシアは1日1mgと考えている人が多いようですが、添付文書では1日0.2mgが基本で、上限が1日1mgと書かれています。個人輸入すると1mg含有のプロペシアが主流ですので、それを毎日服用し続けるのは自分の適用量をオーバーしている可能性もあります。
結果として、想像以上に副作用が出てしまうのです。PFSを含め、プロペシアの副作用についてはもっと重く受け止める必要があると感じます。